相続では預貯金や不動産といった財産だけでなく、借金などの負の遺産も受け継ぐことになります。これを避けたいのであれば相続放棄という手段をとる必要があるのですが、法律では単純承認事由というものが定められており、この事由に該当する行為をすると自動的に相続を承認したとみなされ、放棄することができなくなるので注意が必要です。単純承認とみなされるのは財産を処分する行為です。遺産分割協議を行ったり、預貯金を解約したりすると単純承認したとみなされます。

ただし例外もあり、相続財産の一部を病院への支払いや葬儀費用、墓石の購入費に充てた場合などは、処分行為には当たらないとする判例もあります。また期限が到来した債務の弁済や交換価値の無いものの形見分け、あるいは保険金を受け取る行為も処分行為には該当しません。ただこれらの例外となる行為でも、事例によっては単純承認になってしまう場合があります。たとえば一般的にみて経済的な価値があるとみなされれば、形見分けでも単純承認となりますし、葬儀費用や墓石の購入に関しても社会的にみて高額なものに限られるとされています。

常に細心の注意を払って行動しないと、単純承認したとみなされるリスクは存在するのです。このように相続放棄できなくなる事態を避けるためには、弁護士の力を借りるのも一つの方法です。法律や判例に熟知した弁護士であれば、単純承認に該当する行為かどうかすぐに見極めてくれます。抱え込む可能性のあるリスクを考慮すれば、弁護士に依頼することのメリットはかなり大きいと言えるでしょう。